トノメータ 誰かが泣く声が聞こえる 声は裏路地のビルで反射して 僕を切りつけた 泣き声にこもる悲しみが鋭さを増し 僕の傷もまた流血を始めて それが痛くて僕も泣いた 誰かそいつを止めてくれ 僕はそう声をあげようとしたけど なぜか怖くなって 声がしぼむ 僕は涙も血も止められないまま立ち尽くす ビルの中から 誰かが冷たく僕を見下ろす 君はまだ泣いている * * * * * 遠回り こんな言葉で あなたが救われるとは思いませんが 今しばらくお待ちください 人が立ち直り 家が建ち直り 全てが元どおりになるまで 時間がかかるのです 今すぐどうにかできる力がこの世にあれば良いのですが そんなものを探すよりも 小さくとも 今すぐ出来ることをいたします こんな詩であなたの心は癒せませんが もしかしたら ちょっとした贈り物ができるかもしれません あなたがいつか 笑って暮らせるようになるまでの不安な日々を わずかにでも支えて差し上げられたなら 私も少しばかり 救われるのです