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クリエイター名 |
徒野 |
『 空虚 』
『 空虚 』
少年は一羽の黄色い小鳥を飼っていた。 綺麗な銀の鳥籠に入れて飼っていた。 或る日不図少年は小鳥を可哀想に思った。 鳥籠の狭さを可哀想に思った。 広い空を飛ばせてやりたくなった。 少年はそっと鳥籠を開けた。 小鳥はきょとんと小首を傾げて出ようとしなかった。 少年はそっと小鳥を捕まえて籠から出した。 そして反動を附け空へと放した。 黄色い小鳥は青い空を自由に飛んだ。 少年は満足そうに其れを見た。 暫く経って少年は小鳥を呼んだ。 然し自由を知った小鳥は帰って来なかった。 少年は何度も呼んだ。 矢張り小鳥は帰って来なかった。 ……後に残ったのは空っぽに為った銀の鳥籠だけ。
* * * * * * * 『 空虚(通常文) 』
少年は一羽の黄色い小鳥を飼っていた。 綺麗な銀の鳥籠に入れて飼っていた。 ある日ふと少年は小鳥を可哀想に思った。 鳥籠の狭さを可哀想に思った。 広い空を飛ばせてやりたくなった。 少年はそっと鳥籠を開けた。 小鳥はきょとんと小首を傾げて出ようとしなかった。 少年はそっと小鳥を捕まえて籠から出した。 そして反動を付け空へと放した。 黄色い小鳥は青い空を自由に飛んだ。 少年は満足そうにそれを見た。 しばらく経って少年は小鳥を呼んだ。 しかし自由を知った小鳥は帰って来なかった。 少年は何度も呼んだ。 やはり小鳥は帰って来なかった。 ……後に残ったのは空っぽになった銀の鳥籠だけ。
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