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クリエイター名  蘇芳 防斗
激戦(アクスディアEX・シリアス系)

「く‥‥っそぉ!」
 激しく弾けた装甲を確認して、金色のディアブロを駆る彼は舌打ちするがそうした所でさっき吹き飛んだ部位が修復される筈はない。
「右腕、損傷」
 そんな彼の様子など知ってか知らずか、その後ろに座しては淡々と報告する逢魔を彼はどう思った事か‥‥だが彼は目の前にいる、強大な敵を睨み据える‥‥味方はただ一騎、自身だけにも拘らず。
「こんな所で‥‥死んでたまるかよぉっ!」
 対する敵はネフィリムが一騎と、サーヴァントが十数匹。
 ただ一騎のネフィリムさえ倒せば勝機はまだある‥‥自身の実力と周囲に群れるサーヴァントらの力を冷静に計ればまだ動くディアブロの膝を沈みこませ即座に地を蹴り、回りに群れるサーヴァントは気に留めずネフィリム目掛け突貫する。
「いっ‥‥けぇーーーっ!」
 直後、殲騎の速度が上がれば追い縋るサーヴァントを一気に引き剥がすと敵の懐へ飛び込み何時の間に宿したのか、魔力漲る剣の刃へ加速して増加された全体重の全てを乗せて敵を突き殺そうとその刃を押し出す。
(「‥‥殺った!」)
 至近距離で動けないネフィリムに放たれた一撃は間違いなく、その腹部を穿ち貫いたと魔皇が認識し内心で安堵するも、それが空を切った事に激しい衝撃と次いでコックピット内に響き渡るアラート音で知る事となる。
「‥‥ふん」
 そして響く聖鍵戦士の侮蔑‥‥だがそれでも魔皇は屈せず、尚も己が殲騎を立ち上がらせようとするが
「暫く動かないわ、さっきの一撃にコアギュレイトの影響」
 今になって殲騎の元へ追い着くサーヴァントの数を改めて確認しながら、絶望的な状況にも拘らず先と変わらず落ち着いた声音で状況を報告する自身の逢魔を半分恨めしげに、半分羨ましく思い‥‥彼はどうした物かとシートに身を沈める、この状況では他にどうしようもないが故に。
「諦めたか、賢明な判断だ。ではせめて一撃で葬る事にしよう」
 そして眼前に佇むネフィリム、搭乗者の聖鍵戦士が凛とした声を響かせれば悪足掻きせず微動だにしない殲騎を確認して覚悟したと悟って、剣を大上段に掲げる。
 その言葉の通り、真二つにでもする気なのだろう。
「ま、こんな終わり方も悪くないか‥‥少なくとも、一人じゃないしな」
「私はご免被ります」
 手を組み目の前のモニターを冷静に見つめ呟く魔皇だったが、背後の逢魔は彼の提案を辞退すると
「‥‥それに魔皇様、貴方は此処へ来る前に交わした『あの方』とのお約束を破るつもりなのですか?」
 相変わらずの調子で、魔皇を諭し掛ければその直後‥‥弾かれる様にシートから身を起こすと動かないだろうディアブロを再び、揺り動かさんと試みる。
「そうだったっ!」
「‥‥これだから」
「‥‥? 何を今更‥‥せめて最後は大人しく逝って欲しいものだが」
 彼の叫びに彼女の嘆息が響く中、彼の意思は殲騎へ届き僅かながらにその巨体が揺れると聖鍵戦士もまた嘆息を漏らし‥‥限界まで引き絞った膂力を剣へ与え、一気に振り下ろす。
『あんたが帰って来る場所は此処、死ぬ場所も此処‥‥だから他の所で勝手に死なない様に。もし約束、破ったら毎日此処から説教してやる。思い切りきついから覚悟する様に』
「あいつに説教されるのは死んでからでも勘弁だから‥‥どんな状況でも諦める訳には行かないんだぁっ!」
 この戦場に来る前、そう約束を交わした彼女の言葉を思い出すと彼は叫び‥‥次いで、剣と剣とが打ち合わせられれば周囲へ眩しく、光が迸った。
 
 
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