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クリエイター名  琴乃
コメント  琴乃と申します。得意なものはほのぼの、シリアス、恋愛ものなどです。人物を生き生きと、また、その場の情景や空気、想いが伝わるような文章を目指しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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 それは、美しさまでもが残虐的な…青い青い海の夢だった。  海面から差し込む光に群がる魚たち。岩肌も珊瑚礁もその穏やかな光に照らされている。美しい青の世界…その中に彼はいた。  混じりけひとつない真っ白で無垢な白装束はボロボロになり、その破れた袖から見える上腕には大きな傷跡が残されている。意識も、呼吸もなく、ただゆらり、ゆらりと静寂の中を漂う。その姿は亡骸のようにさえ見えた。  私は、助けてあげられなかった。手を差し伸べたら彼を救えたかもしれない。でも、できなかった。怖かった。『過去』という呪いで縛り付けてしまうかもしれない、そう思ったら逃げ出したくてたまらなくなった。  7年前のあの時だってそうだ。彼に別れを切り出したのは私。もう忘れて欲しかった…いや、自分が忘れたかった。私の両親を殺した彼の兄へ復讐するために、一緒に旅を続けていたことなんて。それを知りながら私を助けてくれた彼のことも、全て。  どうして今になってこんな夢を見たんだろう。忘れたい。忘れたくない。自分の気持ちが真っ二つに切り裂かれるような感じがした。  ああ、そうか。あの夢の中の彼は、彼の姿をしているけれど彼じゃない。私自身なんだ。海がゆらめくまま漂うことしかできない姿は、過去を言い訳に何もできない自分と一緒だ。  それに気がついたとき、私は汽車に飛び乗った。行って、何ができるわけじゃない。むしろ逆に、彼に嫌な思いをさせてしまうかもしれない。だけど、臆病になって閉じこもっているだけでは、何も変わらない。変わらない限り、私は彼の夢を見続けるだろう。永遠に終わらない青の夢を。
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