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クリエイター名  黒風
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 風が吹きすさぶ荒野で、ナイフを持った男と刀を持った男の二人が戦っている。戦い始めた理由など、既に二人とも覚えていない。そもそも、明確な理由があったのかすら分からない。
 それでも、二人は戦い続ける。まるで、戦いの中に己が生きる意味を見出すかのように。

「はあ!」
 一閃。刀を持った男は袈裟に斬り下ろし、一刀両断にしようとする。しかし、ナイフを持った男は身を屈めると同時に横に動いてかわし、反撃する。
 だが、そのナイフもまた身を捻った事で避けられ、二人は再び距離を取る。
「当たらないものだな」
「お互い様、だろ。もう何度繰り返したかわかんねぇからな。尤も、最初から数えてねぇけど」
 刀を持った男がそう言えば、ナイフを持った男が答える。
 そして、一瞬の間を置き、二人は同時に地を蹴った。

 二人は、接近し、互いに攻撃し、互いに避け、距離を取るというのをあれからも何度も繰り返していた。お互いに一撃も当たっておらず、かすり傷一つ負っていない。
「たくよー、いい加減疲れてきたぜ」
 ナイフを持った男がそうぼやく。そう言いつつも、体勢はすぐにでも攻撃に移れる様にしているが。
「ならば、そろそろ一旦止めにするか? 実は、私もそろそろ疲れてきた頃だ」
「なんだよ、気が合うねぇ」
 刀を持った男からの予想外とも言える返答にナイフを持った男が軽く驚いた様な声を上げ、続ける。
「ま、しゃーねーわ。今回は傷み分けって事にしといてやるよ」
「それはこちらの台詞だ」
 再び、刀を持った男が答える。
 お互いに、このままやり合ったとしても決着はつかないであろう事を察したが故の言動である。二人は背を向け、別々の方向へ去っていく。

 無人となった荒野は静かなものであった。風は、いつの間にか止んでいた。
 
 
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