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クリエイター名 |
新田透 |
短めのサンプル(400文字)
夢の世界へ
温かな光が消えていく。私は心地良い夢から目覚めて瞼を上げた。 海を見上げたような深みのある夜空の下、深紅の炎が熱く激しく踊っている。誰かの叫 び声が聞こえた。辺りを見渡すと、人々が狂い叫びながら銃を乱射している姿が見えた。 誰かが誰かを殺し、誰かが誰かに殺されている。そんな光景が目の前に広がっていた。 私は声も出せずに恐怖で手足を震わせることしかできなかった。嫌悪と恐怖と吐き気が体 を縛り上げ、自分の何もかもが腐り死んでしまいそうな気がした。 目を覆ってしまおうと手を上げると、私が握っていたナイフに人の頭が刺さっていた。 背筋が氷のように冷たくなった。それと同時に頭の中でカチリと音を立てて歯車が動き出 した。私は子供のように泣きじゃくった。……そうか、私は戦争に来ていたのか……。 全てを投げ出して温かな光の世界へと戻るべく、再び瞼を閉じた。
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