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クリエイター名  玖野遥
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『食の安全性を考える』

 1人暮らしをしてから、食事について考えることが増えた。
 以前は主に自炊であったが、最近は忙しさのために出来合いの惣菜を買うこともある。
 夜になって大学を出ると、真っ直ぐに24時間営業のスーパーに向かうことが多い。
 そんな生活の中で、ふと不安になることがある。
 昔の私は、食品として店頭に並んでいるものは安全なのだ、と当たり前のように信じていた。しかし、その信頼が、この数年間で急速に揺らいだように思う。
 数年前にある大手乳業会社が食中毒を出した事件は、まだ記憶に新しい。原因は、加工ラインで黄色ブドウ球菌が混入したためだと言う。
 また、ハンバーグなど牛肉の商品を見て頭に浮かぶのは、BSE問題だ。国産牛の全頭検査など、ある程度の対処はされているが、加工食品の全てが確実に安全だとは感じられない。
 異常プリオンの経口摂取が人間におけるプリオン病の発症に繋がることさえも確定事項ではないのが現状であり、不安要素は大きい。
 そういった幾つかの記憶と共に、同様の危険を孕んだものがあるのでは、という不安がよぎり、商品棚へ伸ばした手が躊躇う。
 そんな経験のある人は、他にもいるのではないだろうか。
 そして、そのような問題について、消費者は余りに無力である。
 情報を集め、賢い選択をすることで身を守ろうとしても、前述で挙げたような問題は発生段階では消費者の予想可能範囲を越えているように思う。
 安価な商品が豊かに溢れる環境にありながら、その実、私たちの食生活は、薄氷を履んでいるような危ういものであるのかも知れない。
 農薬や添加物はまだ避けられるが、全く予想外の方面から現れる危険に対して、私たちはどう対処していけばよいのだろう。
 やや他力本願ではあるが、最大限の企業努力と政府対応を求める以外に、私は防ぐ方法を思いつかない。
 残る道としては、せめて異常事態の発生に敏感に気づいて、迅速に対応することだろう。
 消費者の一人ひとりが自分の健康状態に常に注意を払っていることで、被害を最小限に抑えることが出来るはずだ。
 そう結論を出し、空腹と共にかすかな不安を抱えて、食卓に向かう毎日である。







 
 
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