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クリエイター名 |
玖野遥 |
サンプル
多施設共同治験を行い、慢性C型肝炎の患者(472人)にコンセンサスインターフェロン(CIFN)またはインターフェロンα-2b(IFNα-2b)を6ヶ月間投与した。 その後、RT-PCR法によって調べたC型肝炎ウィルス(HCV)RNAのクリアランス値、血清中のアラニン・アミノトランスフェラーゼ値(ALT値)の正常化率、および組織学的な改善状況の三点から治療効果を確認した。 この治験の目的は、非線維症、肝線維症、肝硬変の症状を示す慢性C型肝炎の患者について、治療効果のパラメーターである上記の事項を比較することである。 その結果、慢性HCV患者および肝硬変の患者では、血清中のHCVウィルスRNAクリアランスと組織学的な改善状況において、IFN投与は肝硬変でない患者に対する場合と同様の治療効果があった。 HCVのRNAに対する持続的な陰性化率から見た効果は、非線維症の患者では11パーセント、線維症の患者では13パーセント、肝硬変患者では11パーセントで、有意差はなかった。 3グループのいずれでも、組織学的活動指数(HAI)の改善が見られた。 ALT値に持続的な治療効果が表れた患者は、肝硬変患者では12パーセントで、非線維症患者の23パーセントよりも低かった。 持続的ウィルス陰性化(SVR)の見られた非線維症患者の90パーセントがALT値の正常化を示したが、同様の状態が見られた線維症患者は71パーセント、肝硬変患者は67パーセントに過ぎなかった。このことは、肝硬変患者において肝炎CウィルスのクリアランスにALT値の正常化は不可欠ではないことを示唆している。 HCVのRNAクリアランスの経時変化とALT値の減少については、どのグループも同じパターンを示した。 IFN療法に対する耐性は、血小板減少症のために投与濃度を下げなければならなかった患者グループで他のグループより多かったことを除いては、グループ間の差はなかった。 肝硬変患者においては、ALT値は治療の効果を測定する指標として妥当性を欠く可能性がある。 総括して、硬変患者においても線維症HCV患者においても、IFN治療の効果としてウィルスのクリアランスのみならず肝臓の組織学的な改善が見られた。 以上の結果から、我々は、肝硬変を根拠としてIFN療法を不適切と判断するべきではないと結論づけた。
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