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クリエイター名 |
水綺 浬 |
サンプル1---西洋+三角関係?+正体不明
サンプル1---西洋+三角関係?+正体不明
「また来たの」 冷たく言い放つカーラ。噴水が天高く吹き上げる公園でベンチに腰かける。金がかった赤い髪が揺れた。 「あんたの顔が久し振りに見たくなったんだ」 少女は薄い水色の瞳で睨む。本気で思っていないくせに、と。 「あなた、結局何者なの?」 以前の事件で知り合った、目の前の男。いや、男にも女にも姿を変えられる正体不明の者。いまだに人間なのかすら分からない。 「それはまだ、答えられない」 「そう。なら近づかないで」 素性も何もかも不明の者に構う時間はない。
「カーラ!」 金髪をさらりとなびかせて、少年が走ってくる。 「おや、愛しの彼氏くんか」 男に挨拶して「あれ?」と首を傾げた。 「あなたは、あの時の……」 カーラと付き合う前、一緒にいたところを誤解した時の男性だ。 「覚えていたか、あの時はすまなかった。二人の仲が初々しかったから意地悪をしたくなってね」 ぴくっと少女の眉が上がる。 少年は「僕の方こそ勘違いしてしまって」と苦く微笑む。 そのやりとりに我慢できなくなったのか、カーラは立ち上がった。 「帰って、これからデートなの!」 もう邪魔されたくなくて男の背中を押す。 「それは失敬。でもまた来るよ」 何か企んだ笑みを浮かべて、公園を離れた。
「さぁ、どうあの二人を料理しようか」 男は一人ほくそ笑む。 正体を唯一知っている、少年の友達は驚くだろう。またこの地にやってきたことに。
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