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クリエイター名 |
日高 翠 |
サンプル
「世界が終わる日」
小学生のときの、理科の授業。 教科書を開いて授業を聞いてた。 理科は大好きだった。 実験も楽しいし、先生も面白い。 知らない事をたくさん知れた。 その日は天体の勉強で、地球を先頭に並ぶ惑星を 先生が順番に説明していく。 太陽の話。太陽はとっても熱いんだって知ってる。 地球が暖かいのは太陽のおかげで、太陽がないと生活できない。 先生がちょっとした雑談にはいった。 「太陽ってな、少しづつ膨らんでるんだよ。 いつか、破裂して無くなっちゃうんだよ」 誰かが先生に質問する。 「じゃあ、地球はどうなるん?」 「ずっと先だけど爆発に巻き込まれて 地球も燃えちゃうんだよ」 みんな驚いて口々に話し出す。 「でも、海王星って太陽から一番遠い星は 爆発に巻き込まれないんだよ」 「じゃあ、そこに逃げなきゃ」 生徒の提案に、先生が苦笑まじりに答える。 「うーん、そうだなぁ」 この話はここで終わって、授業にもどったけど 私はショックだった。 地球がなくなるなんて知らなかった。 先生の冗談かな?脅かしてるだけかな? そんな事を考えて、その日の友達との会話が上の空だった。 みんな燃えて死んじゃうのかな?海王星に逃げられるのかな? 景色もなにもかな無くなるなんて考えてみたら 小学生の私は頭がグルグル不安でいっぱいになった。 家に帰って、お母さんに言った。 「地球は太陽が爆発したら燃えて無くなるって」 「そうなんだ」 「先生が言ってた、お母さんはどうするの?」 「ずっと先の事でしょ、お母さんはもういないよ」 そんな答えに、また生まれ変わったりして そのとき、地球に居たら嫌だなってそこまで考えた。 しばらく不安だったけど、小学生の私は数日で忘れてしまった。 「数年後」 友達とプラネタリウムも見に行った。 ナレーションが天体の説明をしていく。 太陽に矢印が当てられて説明が始まった。 私は思い出したように小声で友達に言った。 「太陽は少しづつ大きくなって破裂して そのときに地球が巻き込まれて無くなるんだって」 「本当?」 友達が聞き返す。 「うん、全部無くなっちゃうんだって ずっと先だって。海王星に逃げなきゃね」 「遠いね」 「うん」 暗いくらいプラネタリウム。 説明が終わって星が全部消える。 海王星に人間は住めるのかな? みんなで行けるかな?
新しく作られる建物。 文化 歴史 技術 毎日色々変わっていくね。 世界の終わりが来る日 全部無くなっちゃうのかな。 真っ白でもないよ、なにも無いんだよ。 全部全部ぜーんぶ消えちゃうよ。 もしも、私が未来にいればどうするのかな。 考える事もできなくなるね。 太陽の光は心地良いのに いつか、あの光にのみ込まれて無くなる。 遠い未来の不安。
いつもの駅に、見下ろす街並み。 無くなるなんて終わりなんて、なければいいのに。 そう真剣に考えた。 夕陽が街を燃やしてる。
END
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