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クリエイター名  壱岐 イチヤ
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「若っちゃん起きなさいったら、若っちゃあん!!」
 突然耳元で聞こえた高い女声に起床した。僕はとても緩慢に目を開けてのろのろと上半身を起こす。
 案の定、僕の家の僕の部屋の僕のベットの上に、僕の友人が仁王立ちしていた。その顔が歓喜に歪んでいた。僕は顔を引き攣らせる。
「今日は快晴なのよ若っちゃん!」
 ああそうなんだ。確かにカーテンを引かれた窓から確かに明るい陽光が布地の隙間から部屋に降り注いでいた。
 それで、どうしたんだい紫女?
「いいお天気の日にする事はなんでしょうっ?」
 紫女はいつもの悪意しかない笑みを僕に向けて振り撒いた。
 いいお天気の日…デートとか?家に引きこもって誘拐してきた人間に餌でも与えて遊ぶとか?
「若っちゃんはいつからそんな物騒な思考回路を持つようになったの?」
 お前と知り合ってからかな。
「もう仕様が無いから答えを教えるよ」
 何だよ。
「引越しします」
 ふうん。
「…落ち込まないの?」
 別に。僕はがしがしと頭を掻く。なんだ、そんな事を言うためだけに日曜の朝っぱらから来たのか。
「泣いて喚いて懇願するなら私若っちゃんの家の真下に引っ越してくるわよ?」

 地下なのか?

「若っちゃん寂しくない?」
 ああ寂しいだろうね。
「嘘っぽー」
 うん、嘘だもん。
「若っちゃん若っちゃん」
 何だよ?
「私、もしかしたら若っちゃんの見てない所で勝手に死んじゃうかもしれないよ。そうしたらどうする?」
 どうするも何も、そんな事絶対考えないから解かんないな。
「えー」

 ただ、もしお前が死んだとしたらお前の葬式には坊主を沢山引き連れて参列してやるよ。

 僕の答えに、紫女は一瞬キョトンとした後、
「何それ。嫌がらせ?」
 くすくすとおかしそうに笑った。
 
 
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