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クリエイター名  藤木 了
ファンタジー:戦闘

 半分崩れかけている崖。
 草ひとつ生えていない荒れ地。
 大型の剣をを腰につけた赤髪の青年を、包帯グルグル巻きの男が待ち受けていた。
 白い着物‥‥もとい浴衣を羽織ってはいるが、だらしなく、着崩している。
 顔に巻いた包帯からは、目玉が今にもこぼれ落ちそうだ。‥‥左目はすでにないようだが。
 視線が合うのは一瞬。
 包帯の男が長いかぎ爪を、これ見よがしにジャランと鳴らす。
 やる気満々だな‥‥
 赤髪の男‥‥ラークは、にぃっと笑って、間合いをつめる。一瞬で抜いた大剣を、包帯男の頭に向かって振り落とした。
  ガシャン!
 10本のかぎ爪と、剣が重なり合う音が辺りに響く。
 初めの一撃は防がれた。
 ‥‥そうじゃねぇと、つまんねぇよな。
 瞬発を入れず蹴り出される足に、ラークは飛び退いて、その隙をかぎ爪が襲いかかってくる。
  シュッ
「‥‥あぶねぇ」
 なんとか避け切れたものの、頬には赤い筋が走っていた。
「それぐらいじゃねぇとな!」
  ガシャ!!
 また、かぎ爪と大剣が音楽を奏で始め。
 今度は一歩退いた包帯男がさっきまで居たはずの場所に、剣が舞わせせた。
 そのまま姿勢を崩したラークは、包帯男の足をなぎ払い――――倒した所を、再び剣を叩き付けるように振り回す。
  ガチャ!
 かぎ爪で剣の直撃を避け、器用に包帯男はしゃがみ込む形で、その重なり合った剣とかぎ爪の上に乗る。
「ぐっ」
 もともと重い剣に、いくら軽そうとはいえ、男の体重がその右腕一本にかかったのだ。
 一時とはいえ、剣を手放さなければならなくなったのは必然といえよう。
 かと言って、武器がないままで勝てる相手ではない。
 ラークは、剣の柄から手を放さず、かと言って持っているのでは、手を痛めてしまうのも目に見えていて。
 剣の下へ――――、包帯男の足下へ滑り込み、両足に力を込めて蹴り上げた。
 宙に舞う、包帯男。
 剣は引き抜いて、ラークの手元に収まった。
 蹴り上げた勢いのまま、ラークはバク転で起き上がり。
 包帯男も、見事な着地で砂煙を巻き起こした。
 
 
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