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クリエイター名 |
立夏 |
珈琲と毒薬
喫茶店。窓際の席に男と女が座っている。
男「うん、だから言ってるじゃん。誤解だから」 女「私さ、今度こそぶっ殺す!って思ったもん」 男「怖えよ」 女「言葉のあや」 男「それにしてもさ」
女、コーヒーをひと口啜る。
女「指輪だってさ。買ってくれるって言ったのに」 男「はあ? 俺の給料でそんなモン買えるかよ!」 女「ふうん」 男「何」 女「別に」 男「そう」 女「うん」
沈黙。
男「……るかった」 女「ん?」 男「悪かった、って」 女「ふん」 男「何」 女「もういいよ」
二人、笑う。
女「出よ。コーヒー、飲んでしまいなよ」 男「おう。お前も飲めよ。残すなよ?」 女「うん」
コーヒーを飲んだ男、突然苦しみだし、血を吐いて倒れる。
顔色一つ変えず、続いてコーヒーを飲み干す女。 空のカップの中からダイヤの指輪を取り出す。
女「やだ。変な味がすると思った!」
暗転
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