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クリエイター名  風見
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 カウントダウンがとうの昔に始まっていたことに気付いたのは、ごく最近のことである。
 期待の新人だの有望の新鋭だの言われる年齢が遠ざかるにつれ、夢だの希望だのといったきらきらしいものは重い鈍色の緞帳に被われていった。高校生デビューなどというあおり文句への憧れは、いつの間にやら軽蔑や嫉妬に変わっていた。原稿の応募も事務的になり、不採用原稿の数は両手にあまったところで数えることをやめてしまった。
 努力を怠ったわけではなく、無為に日々を過ごしてきたわけでもない。なにごとにつけ不器用である自覚はあるから、寸暇を惜しんで努力してきたつもりだ。
 内科医が面倒くさげに繰っているカルテをぼんやりと眺めながら、高野美紀は右中指の腹をこすった。ペンを握るとき、ペン先をそこへ強く押しつけるようにするのは、幼いころからの癖である。おかげで美紀が付けペンを使うとペン先が歪んでインクが漏れだしてしまう。インクの黒は指紋にそってにじんで、まるであざのように指へ染みついていた。
 十七年ぶんのあざ。それが当たり前になってしまったのはいつだったろう。
 
 
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