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クリエイター名 |
azumi |
叶わぬ願望
「ただいま」 声をかけてきた貴方に「おかえり」と返した。 たったそれだけの事に貴方はクスクスと笑って、また私へと口を開く。 「可愛いな、お前は」 毎日かけられる言葉だけれど、その言葉に飽きる事はない。 だから、私は明日も貴方に「おかえり」を言うのだろう。
貴方の手が私の頭を撫でる感触が好き。 仕事の愚痴にだって、ちゃんと相槌を取る私は、可愛くて偉い子でしょう? 貴方が望めば、私はいつだって貴方の話し相手になれる。 きっとこの命が尽きるまで、私は貴方を想い慕う事でしょう。
そんな私は貴方にとって最高のパートナーだと思うのに。 鏡に映る自分の姿に溜息が尽きる事は無い。 「そろそろ籠に戻るか?」 嫌だ嫌だと首を振って、色彩鮮やかな羽を動かしながら貴方の頭の上へと逃げた。
本当に。 オウムなんかじゃなく、人間としてこの世に生まれたかったわ。 そして貴方に出会って、貴方と二人で恋をしてみたかった。
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