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クリエイター名 |
思遠 |
b
優香 「あっ……もうこんな時間だ。早く練習に行かないと遅刻しちゃう」 今日はバンド練習日だということをすっかり忘れていた私は、急いでスタジオへ向かった。
(この部屋ね……えいっ) ドアノブに手を掛けて戸を開けると部屋はしんと静まり返っていて誰もいる気配がない。 優香 「誰かいませんかー」 ? 「……ったくうるさいんだけど、何?」 (たしか高崎翼くんだったはず) 優香 「あの、バンドの練習に来たんですけど……」 翼 「はぁ? ……あー思い出した。優香か。今何時だ?」 優香「えーっと……1時15分です。」 翼「あはははっ! お前バカだな? 1時間早いんだよ。どうりで誰も来てないはずだ!」 優香 「えー!? あれっおかしいなあ……なんで?」 翼 「おかしいのはお前だ。集合時間は14時だぞ」 優香「あのっ……時計見間違えて勘違いしていたみたいです。すみません」 (ううっ。なんでこんな勘違いしちゃったんだろう。慌てるとダメだなあ) 翼 「謝る必要はない。別に早く来る分には問題ない」 (そう言ってるわりに少し怒っているような気がするけど気のせいかな) 優香「よかった……それじゃあメンバーが来るまで時間ありますよね。コンビニにでも行ってきます」 翼「はいはい、行ってらっしゃい。俺は眠いから寝るわ」 優香「何かついでに買って来ますか?」 翼「別にいい。女の子をパシリに使ってるみたいで格好悪いし」 優香「そんなところにこだわるんですか?別に気にしなくていいと思いますよ」 翼「別にいいだろ、気にしてたって」 優香「あっ、こうしてても寝るのに邪魔になりますね。行ってきます!」 翼(あーあいつこの調子で大丈夫か。不安だから見ててやらないとな……ふあ……眠い)
優香「ただいまー」 翼「おかえり」 手を振りながらこちらに近づいてくる。すっかり眠気が覚めたのかな 翼「まだ誰も来てないし時間より少し早いけど始めようぜ」 (さっきまでの眠そうな顔はどこへやら。すっかり目が覚めたみたい) 優香「あ、あのこれどうぞ」 さっきコンビニで買ってきたペットボトルのお茶を渡す。 翼「いいって言ったのに……はぁ……ありがとう」 優香「っぅう……わー。わーっ!なにこれー」 翼「あっはははー!はははっ。驚すぎだし?落ち着けば?」 (高崎くんは私の首筋にペットボトルを当てて何かをたくらんでいるような悪い笑みを浮かべている) 優香「もう! 高崎くんが犯人かー。ビックリしたぁ」 優香「ってええぇ近いよ!?」 翼「冷たいのがダメなら、熱いほうがいいか? くくっ赤くなると思ってな」 優香「赤くなんてなってないです!!」 翼「じゃあ手をつなぐとか。キスするとかして赤くなるか試してみようか?」 優香「そっ、そういうのは断固拒否します」 (な、なんでいきなりこういうことを!?) 翼「冗談だ。馬鹿め」 優香「気にしてないです〜」 (ううっ勘違いして真に受けるなんて恥ずかしい。ホントこの人自由人っていうか何をするか分からない人だな)
隆哉「おーおくれてわりぃなー」 修史「やっほー早速始めようか」 急に大きな声がしたのでそちらを振り返るとメンバーの2人が居た。 翼「遅れてきたくせに早速とかいうな」 (皆との活動は楽しくなりそうな予感。高崎くんにはさっきみたいな冗談を言われても動じないようにしないとね
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