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クリエイター名 |
silflu |
コメント |
こんにちは。silfluと申します。「読みやすさ・わかりやすさ」を第一に考えた文章を心がけております。そういったものが好きだという方は是非ご依頼ください。また、私のサイト(http://project-lips.net/)ではフリーのノベルゲームを公開したりしています。よろしければこちらも是非プレイしてみてください。よろしくお願いいたします。 |
サンプル |
DeepRiver 鮎の物語
アタシは鮎だ。サケ目、キュウリウオ科、アユ亜科、アユ属の鮎だ。ちなみに雌。名前なんて人間みたいなものはない。 そう、その人間が憎いったらありゃしない。我々を捕まえる方法が実に面白半分で嫌いだ。なんと、生きた鮎を糸の先にくくりつけて、おとりにする。アタシたちにはそれが縄張りを荒らす馬鹿者のように見えるから、体当たりを仕掛けざるを得ない。残念ながらこれは本能。頭では罠とわかっていたとしても体が勝手に反応してしまうのだ。で、向かって行ったほうも鈎にかかって引き上げられてしまう。実に狡猾だ。鳥のように己の体だけをもって狩りをする者に捕まっても別に悔いはないが、人間は本当に悪知恵を持っている。ロクに水中で泳げもしないくせに、脳味噌だけがそんな嫌な方向に進化したのだろう。やだやだ。 アタシは人間に食われるのだけは我慢がならない。これから多くの仲間と共に海から川へと遡って縄張りを作るのだが、絶対に捕まってやらない。無事に卵を産んで、また海へ引き返してみせる。
河口からしばらく遡ると、隣に雄の鮎が並んできた。頭のてっぺんに微妙な青い模様があるので青吉とでも呼ぶことにしよう。 「やあ、はじめまして」
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