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クリエイター名 |
瀬河茅穂 |
コメント |
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サンプル |
サンプル1
陽は傾き、空は赤の残る闇。大地震の前は整然とした国道だったこの道に、無残に落ちた瓦礫は長い影を引いていた。 彼らが目覚めるのは日暮れの後。まだ時間がある。僅かだけれど。
かすかに衣擦れの音がしたように思った。近付くべきか離れるべきか、頭が一瞬躊躇して結局、身体はその方へ歩き出す。 二つ三つの瓦礫を越えて一人の少女を見つけた。年の頃は十五。長い髪は緩く編まれ、目を閉じて座り込むその姿は、衣服さえ綺麗ならば人形の様だと賛辞を受けただろう。 私の存在に気付いたのか、少女がゆっくりと目を開いた。
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