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クリエイター名 |
小林 ゆら |
コメント |
ウェブ発表を中心に創作して参りました。引き込みやすく読みやすい物語を作ることが私の方針です。その為には、テーマを考慮した上、人物などの設定を詳細に練りこんでお話の下地を作り、表現に関しては、回りくどくなく混乱しないような表現を心がけます。 また、発表ご予定の媒体により文章作法の使い分けをしたり、読者さまターゲットにより表現や話の内容の工夫をしたり、戦略的な文章作りを目指します。 |
サンプル |
サンプル1
駅に近づくにつれ、人と人との間から、擦り切れた炭鉱節のメロディーが細々と流れてきた。斜め上前方の群青色の空に、白々とした三日月が見えていた。その下には、私たちと同年代の子たちや、子供を連れた家族達がバラバラとしながら同じ方向に忙しく賑やかに流れる。日が落ちても、コンクリの道には依然熱が篭っていて、じめっとしていて、独特な臭いがした。 この日も、熱帯夜だった。向こうのほうで、赤っぽい色がちらちらし始め、炭鉱節の音量はだんだんとフェード・オンしていく。
私は小さく咽た。すぐそばの高いところから流れてくる煙が、喉に絡んできたのだ。 どうして最近はこんなに気になるのだろう? 毒物を避けるように拒否反応が出てしまうのだった。 最近、ユウのタバコが増えてきたような気がしていた。いや、確実に増えていた……。彼が歩きながら吸うことは、たまにはあったものの少なかったはずだが、この頃は私服でいるならば道を歩くたびに火を付けていた気がする。彼も就職活動で、ストレスが溜まっているのだろうな、とは思っていたが、正直ちょっと不快に思っていた。補導されてしまっては、元も子もないというやつだし。
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