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クリエイター名  秋里紅良
コメント  皆さま、初めまして、秋里紅良{アキサト クリョウ}といいます。トリックが必要な推理ものと、バリバリの科学考証が必要なSFなんかはちょっと苦手かも…です。あとは大体なんでも書きますが、一番得意なのはファンタジー系です。どうぞ、よろしくお願いします。
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 春の夜。
 早々にシャッターの降ろされた人気のない商店街を、あからさまに憮然として歩く少年の足に、白足袋をはいた黒猫がのどを鳴らして小さな体をすり寄せる。足元でうろちょろされては蹴りつけそうで歩きにくく、余計に怒りを増長させるだけだとわかっているのか、機嫌を取っているつもりらしい黒猫のすり寄ってくる体をすげなく避けて、少年はきっぱりとした声を聞かせた。
「気持ち悪いからすり寄らないで下さい」
 冷ややかな声音だった。
 等間隔に並んだ街路灯に眼鏡を鋭く光らせて、絶対零度もかくやという声を聞かせた少年に、人語を解するらしい黒猫はぐがぁんとショックを受けた顔で一瞬立ち止まる。そしてよたよたと少年から数歩離れると、ぽてっと横ざまにひっくり返った。
 少年のすらりと伸びた長身は、まだ成長期ゆえに厚みにかけたが貧相な感じはしない。どころか、さらさらの黒髪に切れ長の鋭い光を宿した黒い瞳や、通った鼻筋にかかった銀縁の眼鏡、冷たい印象さえも受ける整った顔立ちとあいまって、どこか近寄り難い威圧感を伴ったクールな少年に仕立てていた。

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