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クリエイター名 |
雨宮 |
コメント |
Sex: 男 Blood type: B Age: 管理局の白い悪魔よりは上w Birthday: 12月28日 座右の銘:「やらずに後悔するな、やって後悔しろ」
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サンプル |
言葉の魔法
ひぐらしが鳴く夏の夕方。夕方だろうと夏の暑さが容赦なく街を包み込む。 キーンコーンカーンコーン。 県内の高校では珍しい六階建ての学校からチャイムが鳴り響く。しかし今は夏休みのため生徒は誰もいない。一人を除いてだが。 その生徒、纏井 紡(まとい つむぎ)は屋上にいた。老朽化したフェンスに囲まれた屋上は生活音から隔離された平静な世界といえる。端の木陰で読んでいた小説を胸の上に置き、ただぼーっと空を眺めている。何を考えるわけでもなく何を思うわけでもなくただ眺めているだけ。たが、その静かな時間にもいずれ邪魔が入る。 キィという音と共に屋上の扉が開き、白いシャツに赤いスカートの少女が姿を現した。少女はそのまま高さ三メートルほどのフェンスに歩み寄り、下を見つめる。 数分が経つ。
悪夢の蜃気楼
「はっ、はっ、はっ、はっ」 海沿いの砂浜を上下黒いジャージ姿の青年が走っている。体を動かしている間だけは頭の中をカラッポに出来るから。 現在の時刻は午前四時十二分。季節が夏であるため朝でもまだ肌寒い。辺りは朝焼けに包まれている、人が出歩いている気配はない。聞こえてくるのは波の音 と自分の呼吸音だけだった。しかし、青年の頭の中にはうるさいほど大量の声が駆け巡っている。声を振り払うように青年は砂浜をひた走る。どれだけ走っただ ろう。それすらも定かではない。今自分を襲うのは眠気と疲労、それと―――。 青年が住んでいるアパートに着くと自分の家の前に大量の手紙が散乱していた。それを無視して扉を開ける。すると玄関にも大量の手紙が放置されており、中には血痕が混じったものもあった。それも無視してリビングに向かう。リビングには長い黒髪で白を基調にしたセーラー服姿の笑顔を浮かべる女子高生の写真が隙間なく壁に貼られていた。 もちろん青年が貼ったものではない。それも無視する。 青年は家電が点滅しているのに気づき留守番電話を聞く。
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