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クリエイター名 |
宮本圭 |
コメント |
こんにちは。宮本圭と申します。得意分野のキーワードは恋愛・ほのぼの・泥沼・背徳・切ない系など。逆にコメディなど笑いを前面に押し出したものや、医療・ミリタリーなどの専門知識の要るものは苦手です。登場人物の掛け合いや内面の心理描写などを丁寧に書くことを心がけておりますので、発注の際にはそのあたりに触れておいていただけると助かります。お見かけの際には、どうぞご用命ください。 |
サンプル |
『罰』
罰(泥沼インセストタブー風)
これは罰なのだ。 冷房の効きすぎた病室のベッドに横たわる青白い顔があまりにもおだやかだったので、これはきっと罰なのだと僕は思った。 妹の死に顔がいっそ苦悶にみにくく歪んでいたならばせめて忘れたいと思うことができたのに。 苦しまずに逝ったと知ったようなことを医師に言われてどうしようもない怒りが喉元までこみあげたけれど、それを相手にぶつけられるほど僕は子供ではない。
無題(学園もの百合風味)
無題(学園もの百合風味)
硝子ごしの夕映えが、無人の廊下のなにもかもを蜂蜜色に染めていた。スカートのプリーツをひるがえし窓枠の影を踏みながら聞きかじりの流行歌が自然と口をつきそうになって、あわてて口をつぐむ。軽薄なメロディは、いつもたおやかに笑む優等生にはふさわしくない。 姉の世津子が鼻歌を歌うところなんて、妹の自分にも想像できなかった。 「……またあなたなの?」 もっとも気取られぬための配慮はどうやら無駄だった。
結び目
結び目
おい、とひくい声で呼びかけられても、わたしは歩調をゆるめなかった。それどころかむきになって、いっそう足を速めながら朝の通学路を歩く。ちょうど通勤通学の時間帯で、歩道は行きかう人々が絶え間ない。 ゴミを出している背広のおじさんの後ろを通り抜ける。ふざけて絡まりあいながら歩く小学生の群れを追い抜く。あわてた様子で兄が後ろから追いついてくるのが、足音と気配でわかる。 「おい」 近頃兄は、妹のわたしのことを名前では呼ばない。どうしても呼び止めなくてはならないときには大抵、おい、とか、おまえ、という曖昧な呼びかけ方で、非合理的な上に失礼極まりないといつも思う。
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