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クリエイター名  夙川
コメント   はじめまして。
夙川(シュクカワ)と申します。
 まずはサンプル等でご依頼に値するかどうか、判断して頂ければ幸いです。
サンプル SANTA SHOOTING

 漆黒に覆われた世界を孤独な一片の金属が突き進む。天の明かりと、地の明かりを背と腹で受け、漆黒を切り裂きながらそれは進む。雲を避け、音よりも速く一片の金属は飛び続けた。
 よく見るとその一片の金属は、さらに微細な金属の集合体だった。鋭角な先端から流線型に広がるクリップドデルタ翼、尾部からは灼熱の流束が噴き出て、圧倒的な推力を与えていた。そしてその中には一人の人間が、計器とスイッチ、そして酸素マスクに囲まれ繋がれ――虚空を切り裂く無機物の固まりは、有機物である彼を受け入れ、そして完成していた。
 夜闇を切り裂くその金属の塊の名は、F-35Aライトニング?U。沿岸部に配備された新式のレーダー・システム、SQUID(超伝導量子干渉素子)走査型監視システムの試験運用を行っている部署に配備されたばかりの新品の統合攻撃戦闘機だ。
 SQUIDシステムが、従来のレーダー・システムと違うのは、局所の完全走査を可能にした点と固定レーダー・サイトを必要としない点だ。兵装を全廃し、無人機化したF-35に搭載された大型のSQUIDにより、周辺の磁場環境を精密に完全走査、磁場を感知し、その形状データを照合することにより対象物を確認するという煩雑だが、精緻極まりない新式の手法だった。
 もちろん現在の走査範囲はそう広いとは言えなかったが、必要な場所に高精度の走査をかけれるという点では、早期警戒機とは桁違いの精度を理論、実際共に示している。事実、この技術を基にしたAWACS(早期警戒管制機)開発も既に内々では動いているらしかった。
 だけど残念ながら、搭乗者にとってそれはどうでもいい話で、高感度過ぎるそのシステムゆえの弊害に、日々ため息を吐いていた。


くさやのきもち

 塩の匂いはするのに、波の音はそこには聞こえない。辺りは薄暗く、そして饐えたような腐臭で満ちている。閉じていた目を僕は静かに開けて、辺りを見渡した。
 初めて見る風景なのに、そこがどこなのか僕にはわかった。ここは僕が産まれた場所で、そしてこれから生きていく場所なのだと思う。
 僕はそうきっと、産まれた、のだろう。辺りには、餌や仲間たちが無数にふわふわとたゆたっていた。それはとても平和な光景だった、見渡す限りに仲間達だけがそこにはいて、それ以外の全てが排除された空間。確かに僕達にとっても過ごし易いとばかりは言えない世界だったけれど、それでも平和なその場所は楽園と言ってもいいものだと思う。
 見たことも無いけれど、知っている別の故郷では仲間たちはもっと少なくて、何時も何時も酷い勢力争いが続いているのだから。
 僕がたゆたう塩水の中に、ちょこんと浮かぶ甘い味のする粒を齧ると、口いっぱいに甘い味が広がった。あんまりにも美味しくて他にも探したけど、甘みの少ないものやなんだか別の味がするものはあったけど、あの甘い粒はあんまり無いようだった。仲間達もあの味がきっと好きなんだろう。仕方無く、甘みの少し薄い大きな塊をちびちびと齧っていると、不意に世界が揺れ動き始めた。
 ぐるぐるぐる、と、世界は動く。僕が回っているのかもしれないし、浮かんでいる液体自体が回っているのかもしれない。目を回さないようにしながら辺りを伺うと、どうやら後者のようだった。ぐるぐるぐる、と、かき回されながら僕はどうやら明るい方に流されているようだった。いつの間にか見たことも無い泡が液体の中に混ざっていた。


自由電子レーザー兵器

 オールドリバー・インダストリィのテストパイロット、トミー・フクダは整備技師を振り向いてこう言った。
 「こいつは――第三国用のダンピング仕様かい」
 安っぽい笑みを浮かべ小馬鹿にした態度で、トミーはこれまでダンピング機にしてきたように、ニヤつきながら機体を脚で小突いた。傍らの技師が静止する暇も無いほどの早業だった。
 トミーには悪意は無かったのだろう。その行動はごく自然で、ありきたりな日常の延長線上に存在していた。けれども今回は、そしてだからこそこれまでのように問題無しとはいかなかった。
 トミーの小突いた部分は装甲を隔ててセンサの密集した部分で、小突いたその機体はトミーがこれまで扱ったダンピング機と比べると価格が二桁ばかりも違う、文字通りの最新鋭機だったからだ。
 結局トミー・フクダはブリーフィングを軽視するその性質に起因する、この軽挙一つで解任され、オールドリバー・インダストリィの最新鋭兵器キュクロープのテストは、同社所属のタキオ・マルティンに移ることになった。


二番目の日々


 最期って、案外悪いものじゃない。そう思えたのは、それの足音が私の前で止まった直前までだった・・・・・・。

 白くて清潔なリネンに、四角い窓にかかるレースのカーテン。家具なんてほとんど無い生活感のない部屋のベッド、これが私の世界の全てだった。傍らのパイプ椅子では、看病に疲れたのか明俊が船を漕いでいた。
 ああ、本当――それなりに幸せなのかな。もうこれが最期だなんて、信じられない。でも足音はどんどん近づいてくる。カーテン越しにうっすらとわかる青空の下、今がその時だなんて、ロマンスの欠片も無い。
 できたら、そうだな。夕焼けの中最期を看取られるなんて良いかも知れない。


地球ちゃん

 久しぶりに会いに行くと、地球ちゃんは酷く苛々していたように見えた。
 「あれ、地球ちゃん。何か嫌なことでもあった」
 僕がそう尋ねると、地球ちゃんはアクセサリできらきらと輝く、流れるような緑の黒髪を揺らして僕の方を振り向いた。
他の星にはないそのアクセサリは電灯と言って地球ちゃんを飾るために、住んでいる生き物がごてごてと付け続けているって確か前に来たときに言ってたっけ。
太陽の光を体中に受けるその姿は、土気色とかガスや炎の色で彩るのが多い中で相変わらず鮮烈な青と緑が眩しく、そして白とのコントラストが綺麗だった。
 「あら彗星くん、久しぶりだね――」

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