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クリエイター名 |
水穂 ゆう |
コメント |
新規ライターとして登録させていただきました、水穂 ゆう(みなほ ゆう)と申します。 力量と嗜好の問題で、心情重視の作品が多くなると思われます。アクション重視、特にスピード感のある描写をご希望の方は、他のライターさんにお願いした方が無難かもしれません…。 まだまだ若輩の身ですが、精一杯頑張ります。どうぞよろしくお願い致します。 |
サンプル |
紫煙の向こうの恋し影・序
序.◇質屋『神無崎』◇
その日、質屋『神無崎』には珍しく客があった。 年中、閑古鳥が鳴いてばかりの店には滅多に人がいない。店番の少女は、いつも奥の座敷でごろごろと時間を潰している。だからその時も、たまたま通りかかった誰かが店内を覗きに来たくらいにしか思わなかった。 「いらっしゃいませー」 欠伸を噛み殺しながら、カウンターの向こうにひょこっと顔を出す。そして、目を瞬かせ首を傾げた。
紫煙の向こうの恋し影・中
中.◇還魂の器◇
その場所は、さほど人里から離れていない山中にあった。冬ならば熊が冬眠でもしていそうな、崖下にぽっかりと空いた穴だ。だが、その入り口から想像するよりも奥はずっと広く深くなっていた。 「こんなとこに閉じこもるなんて、人間っつーより野生動物だよな」 道中の人里で尻尾や耳を出してしまったときの時のためにと三左五に着せられたワンピースと帽子を脱いで鞄に押し込みながら、九音はその穴を覗く。この場所は依頼人が置いていった地図からすぐに分かったのだが、奥がどうなっているかは今のところ不明だ。 「しっかし…死んだ奴に会えるってそんないいもんか?」
紫煙の向こうの恋し影・終
終.◇紫煙を透かし見れば◇
「なー、その香炉も店に置くのか?」 灰の中から香炉を拾い上げ、丁寧に払って傍に転がっていた箱に収める三左五に、九音は首を傾けて問う。 「ええ。元々収められていた神社を管理している所に聞いたところ、そうして欲しいということでしたので」 「ふーん…」
緑の姫と昇る猫(コメディ寄りサンプル)
天から降り注ぐ雨滴が、地面を叩く。草木も獣も皆平等に晒されるその雫を全身で受けながら、ぼんやりと世界を眺めていた。 このまま、手を伸ばさずにいれば。そうすれば、誰からも必要とされないまま、朽ちていくだろう。それでも構わない。 そう、思っていた…。
晴れ渡った空の下、とある街角で二つの人影がこそこそと路地を覗いている。どう見ても怪しげな様子に、たまたま通りがかった犬と猫と人間が、微妙にその周囲を避けていった。
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